
日本には「生き方選び」を教えてくれる人が少ない
2020.3.2
2019.5.20
タノクラ読者のみなさん、こんにちは!
日本10周中ライターのブルゾンみきお(@OOHORI_bicycle)です。
春は進学や就職の季節。
故郷を離れ、結婚するまで一人暮らしを経験する・・・・。というのは、ドラマやアニメでもよく描かれる現代の若者の一般的なライフスタイルですよね!
しかし、最近では大学生や新入社員などの若者で、一人暮らしに孤独感を感じている人が増えているのを知っていますか?
ニッセイ基礎研究所が行った調査では、「団塊世代」よりも「ゆとり世代」「団塊ジュニア世代」の方が、一緒に暮らす家族や、近所づきあいなどが少なく、孤独リスクが高いという結果が出ています。
また、一人暮らしをしている20〜30代の孤独死も増えているのです。
若者が都会に出てきて、いざ一人暮らしを始めると、地域とのつながりや人間関係構築の経験も浅く、関係性が希薄になるため、孤独死も高齢者の問題だけではなくなってきています。
今回は、そんな現代日本の「一人暮らし」について、何が問題なのか?タノクラ的視点からメスを入れてみようと思います。
この記事の目次
(資料)2015年までの実績値は,総務省『国勢調査』。2015年以降の「単身世帯数」「総世帯数の推計」は、国立社会保障・人口問題研究所編『日本の世帯数の将来推計(全国推計)─2013年1月推計』。また,2015年以降の「総人口」の推計は、国立社会保障・人口問題研究所編『日本の将来推計人口(2012年1月推計)』(中位推計)。より作成
まず、日本の一人暮らしの現状について見ていきましょう。
「生活協同組合研究 2017年3月号」によると、2015年時点で1842万人の人が一人暮らしをしているということが分かります。
これは全人口の14.5%にあたり、日本人の7人に1人が一人暮らしをしていることになります。
一人暮らしの世帯数が増えているだけでなく、一人暮らしをしている人の割合も増えているから、日本全体が「一人暮らし社会」に移行してきたってことね。
(資料)2015年までの実績値は,総務省『国勢調査』。2015年以降の「単身世帯数」「総世帯数の推計」は、国立社会保障・人口問題研究所編『日本の世帯数の将来推計(全国推計)─2013年1月推計』。また,2015年以降の「総人口」の推計は、国立社会保障・人口問題研究所編『日本の将来推計人口(2012年1月推計)』(中位推計)。より作成
続いて、一人暮らししている人を年齢別に見てみましょう!
まず、男性では20代の一人暮らしが最も多くなっています。
これは、進学や就職を機に親元を離れて生活するケースが多いからです。
それに対して、女性は20代もボリュームがあるのですが、60代・70代・80代でも一人暮らしが多くなっています。
これは、夫と死別して一人暮らしになる女性が増えるからです。
いずれにせよ、今後は高齢者の一人暮らしが増えていくことは明白よね。
(資料)2015年までの実績値は,総務省『国勢調査』。2015年以降の「単身世帯数」「総世帯数の推計」は、国立社会保障・人口問題研究所編『日本の世帯数の将来推計(全国推計)─2013年1月推計』。また,2015年以降の「総人口」の推計は、国立社会保障・人口問題研究所編『日本の将来推計人口(2012年1月推計)』(中位推計)。より作成
今後の推計を見てみると、一人暮らしの世帯数に関しては、横ばい もしくは微減していくような傾向にあります。
しかし、総人口に対して単身世帯が占める割合や、総世帯数に対して単身世帯が占める割合は上がっていくということが分かります。
つまり、人口は減っていくのにも関わらず、1人暮らしをする人の割合は増えていくということですね。
一人暮らしをする人の割合が増えていく。しかも、高齢の一人暮らしが増えていくというのは、なかなか厳しい展開になっていくわね・・・。
日本においては一人暮らし世帯が増えていることは分かりましたが、どのような経緯で増えて来たのでしょうか?
先ほど紹介したように、一人暮らしの世帯数は右肩上がりに増えています。
しかし、変わったのは一人暮らしの世帯数だけではありません。一人暮らしの内容自体も時代と共に変化してきています。
例えば、バブル期前の一人暮らしは、「下宿暮らし」と呼ばれ、風呂ナシ銭湯通いに、トイレは共同というのが一般的でした。
昭和40年代以降、地方から上京して来る学生が急増したため、受け皿としてそういった形式のアパートが増えていったのです。
当時のアパートは共用部分があったり、大家さんが女将さんとして食事を提供してくれたり、良い意味で「プライバシーの無い暮らし」で、そういった「下宿暮らし」をテーマにした昭和のTVドラマも人気を博しました。
そこから、バブル突入に合わせて自室に専用のトイレとシャワーが付いている、現代の私たちがイメージするような「一人暮らし」が普及していったのです。
昭和のフォークソングで歌われていた三畳一間の世界観ね。今の一人暮らしとは全然違うわ。
また、歴史を遡るともっと一人暮らしが多かった時代もあります。
それが江戸時代!!
なんと5割超の人が未婚だったと言われています。(長屋に住んでいた人が多かったので、現在の一人暮らしとはイメージが異なりますが)
だからといって、江戸時代の一人暮らしが孤独だったかというと、そういうわけでは無いみたいです。
お江戸の化学より引用
というのも、普段使っている灰を買いに来る人、トイレの汲み取りに来てくれる人など、地域や周辺に住んでいる人とのつながりをベースに暮らしが成り立っていました。
むしろ、周囲の人との関わり無しでは生きられない時代だったとも言えるかもしれません。
こうして見てみると、一言で「一人暮らし」といっても、その在り方は時代と共に移り変わってきたと言えるでしょう。
1721(享保6)年の江戸の町は男性32万人に対し、女性18万人と圧倒的に男性人口の方が多い「男余り社会」だったそうよ。
ここまで江戸時代・バブル時代の一人暮らしを見てきました。
比べてみると「コミュニティとの関わりがある」という点が、現在の一人暮らしとの違いです。
江戸時代・バブル時代の一人暮らしは「一人暮らし」といっておきながら、実際は一人で暮らしていなかったのです。
ところが現代では、あらゆる機能が分断・ビジネス化され、コミュニティと関わらずとも文字通り「一人暮らし」ができる時代になってきています。
都会に住む一人暮らしの休日は、下手すると誰とも会話せずに生活が完結してしまうでしょう。
現在の日本は経済成長したからこそ、多くの若者が「一人で暮らし」ができるほどの豊かさを得ました。
しかし、その代償として「孤独」という課題を引き起こしているのではないでしょうか?
江戸時代やバブル以前の一人暮らしは食事・家事・地域の催しなど、何かしらで周囲の人々と関わりを持ちながら暮らしてきたのです。
その一方、現代日本で一人暮らしが課題になっているのを見ると、いくら便利になっても、プライベートの重要性が叫ばれても、暮らしの中にコミュニティを取り込むことが必要ということでしょう。
最近では、そういった課題感から、シェアハウスなどコミュニティ機能を持った暮らしを選択する人も増えています。(シェアハウス数は10年前に比べ10倍以上になっている)
また、一緒に食卓を囲む相手をマッチングするようなサービスも出てきていますね。
「大学進学でとりあえず一人暮らし」「就職したから、とりあえず一人暮らし」と一般的な流れにただ従うのではなく、しっかりと吟味しながら自分の理想とする暮らしを選択する必要があります。
なんとなく一人暮らし。は危ない!
そんなことに気づき始めて色々な暮らしを模索し始めている人がたくさんいます。
まずは、そんな人たちの暮らしを覗いてみることから始めると良いかもしれませんね!
参考資料
「空き家増」時代の解決策 なぜシェアハウスは増加しているのか?
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