
地方の人手不足を解消するための4つの方法
2020.3.14
2020.2.13
タノクラ編集部ぅ〜!全員集合ぅ〜!!
誰か取材に行ってくれないかしら???
アンタ達!!!しょうがないわねぇ〜。。。
そんなことなら、編集長のワタシが乗り込んで取材してきてあげるわよ!!!!
〜数日後〜
。
。
ホントにすごい山奥ね・・・・。
おーーーーーーーい!!!!
コッチですーーーーーーー!!!
なんか上から声が・・・。
あ!あなたが取材させてくれる井上さんね!!!
井上 琢斗(いのうえ たくと)さん
WAKUWAKU HOUSE MATBA(わくわくハウス マトバ)オーナー。株式会社AWA-RE共同創業者。徳島県の西祖谷(にしいや)という地域で、「人のポテンシャルを開花させる」というテーマのもと宿泊事業・観光事業・教育事業など幅広い事業を手がけている。
この記事の目次
遠いところ、わざわざありがとうござます!
とりあえず、コチラへどうぞ!
ここが、井上さんが経営する宿なのね?
そうです!
WAKUWAKU HOUSE MATBA(わくわくハウス マトバ)という名前の宿で、2019年4月のオープン予定だったのですが、工事の遅れなどありまして・・・・。
現在はオープンに向けて最終調整をしているところです!
それで、外に資材とかが沢山あるのね!
そうなんですよ〜。
でも、内装は工事が終わっていますので案内しますね。
よろしくお願いします。
まず、こちらが洋室になります。
洋風の床材をつかっていますが、天井は古民家の梁(はり)を活かしたつくりにしており、新しいものと古いものを融合させたような空間にしているんです!
この白い壁は漆喰(しっくい)かしら??
そうです!
漆喰(しっくい)の一部は自分たちで塗りました。少し粗い部分もありますが、逆に味わい深くなるのが漆喰(しっくい)の良いところですね!
この部屋の向かいにも同じような洋室があります。
これは大工さんにお願いしたのかしら?
大枠は知り合いの大工さんにお願いして、細かい部分は自分たちで進めました。
基本的には1人で作業していたのですが、ところどころで友人や知り合いが手伝いに来てくれて、なんとかここまで進んだという感じです。
あら!まだ奥にも部屋が!!
奥は和室になっています。
この辺は外国人観光客の方も多いので、和室など日本の伝統的な空間も喜ばれるんですよ!
この辺は外国人観光客の方も多いのね。地域の特徴なども含めてもう少し詳しく教えてくれるかしら?
そうですね!
では、お茶でも飲みながら詳しくお話させて頂きます。
引用:https://www.google.co.jp/maps/?hl=ja
はい!このあたりは祖谷(いや)と呼ばれる地域で徳島県の西部にあたります。
深い渓谷と1000m級の山に囲まれた地域で、WAKUWAKU HOUSE MATBA(わくわくハウス マトバ)があるあたりは祖谷(いや)の中でも西祖谷(にしいや)と呼ばれる地域になります。
引用:かずら橋は3つある?徳島・祖谷のかずら橋めぐり(風祭 哲哉)
そうですね!かずら橋は日本三大奇橋の1つで、サルナシなどの葛(くず)類を使って架けられた原始的な吊り橋のことです。
山の中にある秘境の雰囲気が味わえるということで、最近では外国人観光客の方々にも人気なんですよ!
井上さんは、そのニーズを汲んで宿泊施設を始めたってことかしら??
もちろん、それもありますね!
このWAKUWAKU HOUSE MATBA(わくわくハウス マトバ)は泊まれる観光案内所にしていきたいなと思っています。
地域の伝統文化体験も提供する予定なんだとか。
実は株式会社AWA-REという旅行会社も仲間と共同経営しているので、旅行ツアーを組むこともできるんです。
なので、「うちを予約すれば宿泊も旅行も全部OK!」という体制を作っています。
それに、うちでは他の旅行会社では絶対にできないようなサービスも提供しているんです!!
気になるわ💖
例えば、同じ集落に住んでいるおばあちゃんの茶畑に一緒に茶摘みに行く、一緒に餅つきをするなどなど・・・・。
名所を巡る一般的なツアーではなく、地元住民と触れ合ったり、生活に触れるような体験を提供してます。
最近に観光ニーズは、ただ単に名所を見るような「消費的な観光」から、その土地にしかないディープな文化に触れるような「体験的な観光」へと変化していっているんです。
確かに、ここに泊まったら祖谷(いや)でしかできない体験ができるというのは魅力ね✨
そうですよね!
このようなコンテンツは地域の方との信頼関係が無いと提供できないコンテンツですので、普通の旅行会社ではなかなか実現できないんですよ。
でも、僕が西祖谷(にしいや)で活動しているのには、もっと別の目的があるんですよね〜。
詳しく教えてくれるかしら・・・?
僕が一番興味を持っているのは、人のポテンシャルです。
そうです!
1人1人が潜在的に持っている能力や価値観が発揮される瞬間がたまらなく好きで・・・・。
実は、僕がやっている事業は宿泊施設だけじゃないんですよ。
地元の高校の非常勤講師・学生のインターンシップのコーディネート・社会人向け研修の受け入れ・外国人旅行者の受け入れなども平行して行なっているんです。
その事業を総合して「人のポテンシャルを開花させる」取り組みを行なっているというワケなんですよ。
折りたたみ自転車で地域を回る観光事業も行なっている。
それぞれが、「ポテンシャル」というキーワードで繋がっているということなのかしら??
正にそうなんです!
こちらのWAKUWAKU HOUSE MATBA(わくわくハウス マトバ)の「わくわく」には2つの意味があって、1つは地元の人とのローカルネットワークを通してワクワクするような体験をしてもらいたいという意味。
もう1つは自己発見プログラムを通して自分のポテンシャルにワクワクしてもらいたいという意味となっています。
じゃあ、このWAKUWAKU HOUSE MATBA(わくわくハウス マトバ)で自己発見プログラムも実施するのかしら?
そうそう!やってます!
実際に今週末には都市部に住む社会人1〜2年目くらいの若手を対象に「原点回帰」をテーマに自己理解プログラムを実施予定です。
どんなことをするのかしら?
ありがとうございます!
西祖谷(にしいや)の集落での古き良き暮らしに触れてもらいながら、「なんのために働くのか?」「なんのために生きていくのか?」といった自分の原点に立ち返ってもらうワークショップをします。
普段の生活とは全く違う非日常の環境というのは、自分を見つめ直すためには良い環境なんですよね。
正に、そうです!
地元の高校の非常勤講師の仕事も、同じく参加してくれる学生さんのポテンシャルを引き出せるという点にやりがいを感じています。
自分のポテンシャルに気づいた子って、使う言葉も表情もガラリと変わって、別人のようになるんですよね!!
井上さんがカンボジアで撮影した写真
WAKUWAKU HOUSE MATBA(わくわくハウス マトバ)は「人々のポテンシャルを開花させたい」という井上さんのフィールドの1つってことなのね!!!
ところで、井上さんはなんで人のポテンシャルに興味を持つようになったのかしら??
きっかけは大学院時代にカンボジアの病院でインターンをしたことでした。
僕のミッションはカンボジアのとある病院の衛生環境を改善することだったのですが、これがなかなか上手くいかなくて・・・。
何が上手くいかなかったのかしら???
カンボジアの医療は日本の医療と違って、専門的な医療は医者と看護師が担うのですが、院内での日常的な看病は家族が担うような仕組みになっています。
なので、院内に家族が住み込んでいて、中には犬や鳥などを院内に連れ込んでいる人もいました。
そんな環境の中で、手洗いなど基本的な衛生観念を浸透させようとしていたのですが、全然理解されなくて・・・・。
それで、どうなったのかしら??
現地の人はクメール語を話すのですが、僕は英語しか話せないので、それも上手く伝わらない要因だったのかも知れません。
なので、ある時から僕が直接指導することを止めたんです。
そこで、僕は現地のスタッフ全体に直接指導するのではなく、リーダーシップをとれそうな看護師と話し合いを行なって、2人で考えた内容をその看護師から全体に伝えてもらうようにしたんです。
そうすると、その看護師は徐々に自発的なリーダーシップを取り始め、病院スタッフ全体が変わっていったんです!
そうなんです!
自分が関わることで、人のポテンシャルが引き出され、周囲を変えていく様子に「これだ!」と思いましたね。
カンボジアから帰国後は医療機器のメーカーに就職する予定だったのですが、この時の経験が忘れられず「人のポテンシャルを引き出す現場に関わりたい」と思うようになりました。
協力隊時代に活動を新聞に取り上げられた際の記事
カンボジアから戻ってからは、どんな道を歩んで来たの??
まずは「人のポテンシャルを引き出す現場」として、学生インターンのコーディネートや地元の小学生・中学生・高校生への教育プログラムの提供をしていこうと考えました。
しかし、このような取り組みは、人口が多い都市でないと事業として継続するのは難しいんですよね・・・・。
でも、この祖谷(いや)には人のポテンシャルを開花するのに重要な要素があると思ったので、まずは三好市の地域おこし協力隊になり、新しいビジネスモデルを模索することにしたんです。
祖谷(いや)は急な斜面に小さな集落がたくさん集まってできている地域です。
そして、1つ1つの集落はけっこう離れていることが多いので、集落内でものごとを解決していくという意識が強いんですね。
なので「その人ができること」を求められるんです。
そうです。
人がたくさん集まっている地域では、他の人と差別化をするために「あなたはこの能力を伸ばすべき」という流れができがちですが、人が少ない地域ではそんなことは言ってられません。
「あなたは何ができるの?」から始まるんですね。
「その人ができること=その人が持っているポテンシャル」ってことになるのね。
正にそういうことです!
「べき」ではなく「できる」を求められる文化というのが、その人のポテンシャルを開花させるのに重要だと思うんです。
そういう背景があり、協力隊として祖谷(いや)をフィールドとしました。
そうなんです!
三好市はフリーミッション型の協力隊で、自由に事業作りをさせてもらえたので、地元の小・中・高校から教育プログラムの仕事を受託しながらビジネスモデルを模索しました。
その中で、旅行業の株式会社AWA-REも立ち上げ、最終的にはWAKUWAKU HOUSE MATBA(わくわくハウス マトバ)を立ち上げるに至ったというワケです。
そうですね。まず、僕がやっている学生や社会人向けの研修事業というのは、その都度仕事を受託するケースが多いです。
特に自治体と組んで実施する仕事に関しては年度末に収入が固まることも多いので、定期的に収入が得られるビジネスが必要でした。それが宿泊業だった。というのが1つ。
それに加えて、この西祖谷のフィールドは人のポテンシャルを引き出すのに抜群に良い環境だったというのもあり、このフィールドを活用しつつできるビジネスが宿泊業だったというのもあります。
WAKUWAKU HOUSE MATBA(わくわくハウス マトバ)での宿泊業と研修事業は、ビジネスモデル的にもフィールド的にもシナジーを発揮しているということなのね!
まさに!!
西祖谷(にしいや)で宿泊業と研修事業の両方をやるからこそ意味があると思っています。
こちらのカウンターも井上さんの手作りなんだとか!
そうですね・・・。
週の半分くらいはWAKUWAKU HOUSE MATBA(わくわくハウス マトバ)のオープン準備をしつつ、残りの半分は研修事業に時間をつかっています。
西祖谷(にしいや)から1時間半くらい離れた脇町(わきまち)という場所に事務所があり、そこにアパートも借りているので、2拠点生活みたいな感じですね!
実は結婚していて、脇町(わきまち)のアパートに奥さんもいるので、けっこう頻繁に行き来していますね。
でも、けっこうハードな暮らしじゃないかしら・・・・?
そうかも知れません。
でも、WAKUWAKU HOUSE MATBA(わくわくハウス マトバ)に関しては自分である程度運営したら、管理人のような人を置くのもありだと思っています。
井上さんは、今後どんな暮らしをしたいとか、どんな仕事をしたいとかってあるのかしら?
人のポテンシャルを引き上げる現場にずっと関わっていたいですね。
今はそのフィールドとして西祖谷(にしいや)が一番良いと思っています。
そんな中でも、やっぱり西祖谷(にしいや)という土地にはこだわりがあるのかしら??
場所「そのもの」には、こだわりはないです。
僕の場合、「ここに住みたい」とかはないんですよね。
ほんと純粋に「人のポテンシャルを引き上げる現場にずっと関わっていたい」という想いが強くて、それを一番に実現できる場所が西祖谷(にしいや)だと思っています。
「この景色に惚れた!」とか「こういう暮らしがしたい」というので住む場所や暮らしを選ぶ人は多いけど、井上さんの場合、「自分がどういう価値を発揮するのか」というのを一番大事にしていて、そのために最適な場所に住んでいるという感じなのね!
そうですね!
今後も、ポテンシャルを引き出すことによって起きる変化を目の前で見ていたいです。
また、WAKUWAKU HOUSE MATBA(わくわくハウス マトバ)がオープンしたら泊まりに来たいわ💖
ぜひぜひ!
またいらしてください。
井上さんの話を聞き、暮らしの作り方も色々あるということを再認識しました。
「この景色が好きだからここに住む」「この人たちと関わっていたいからこの地域に住む」「この仕事をするためにここに住む」といった具合に、景観・関わる人・仕事を重視して住む場所や暮らしを選び取るというのはよくあるパターンだと思います。
しかし、井上さんは「自分が発揮する価値」を一番重視し、それを実現するために仕事や住む場所を選んでいました。
このように、暮らしの作り方というのは十人十色。
仕事と暮らしのバランスも十人十色だと思います。
タノクラには様々人の暮らしを取材した記事がありますが、今の暮らしを選んだ動機や暮らし方は、本当にバリエーションに富んでいます。
その1つ1つが読んで下さっている方の暮らしづくりに少しでも役に立てばよいなぁと改めて思いました。
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