
永遠のロマン!?「モバイルハウス」で移動しながら生きるって実際どうなの???
2020.2.29
2019.11.6
こんにちは!
千葉県富津市を拠点に活動しているフリーライターのはるぼーです!
唐突ですが皆さんはもし、今自分が住んでいるところから遠く離れた土地のお家を引き継ぐ…そんな状況になったらどんな生活を想像するでしょうか?
その土地に行って実際に引き継ぐとなっても、きっと今の生活が一変してしまうでしょう。
想像もつかないですよね。
しかし、岩手県一関市でそんな生き方をしている若者がいるのです!
その名は千葉 健司(ちば けんじ)さん!
おじいさんから受け継いだ古民家をリフォームし「農家体験民宿 古民家薄衣(うすぎぬ)」として運営しています。
千葉 健司さん
いらっしゃい!取材に来てくれてありがとう!今回はよろしく~!
千葉 健司
東京都江東区出身。1982年生まれ。父は岩手県一関市出身。
会社員時代は東京で大手酒類メーカーの営業職として勤めていたが、3年前に祖父の古民家を継ぐことを決意。その後は2018年の2月に岩手県一関市へ正式に移住した。
受け継いだ古民家を「いままでにないワンランク上の農家体験民宿」を目指しリフォーム、運営している。
古民家運営と並行してピーマンの生産も行うナイスガイ。
こちらには実は以前にも一度、見学させていただいた事がありました。その時からこちらの古民家のこだわりに感銘を受けていたんですよね。
まずはそんな「古民家 薄衣」の写真をご覧ください!
古民家薄衣の外観
古民家の居間の囲炉裏
純和風がコンセプトのこだわりの内装
和室は網目の細かい琉球畳
以前からまたお話を聞ければと思っていたので、今回取材することが出来て嬉しいです!
ありがたい話だね!それでは始めますか!事情徴収を!(笑)
そうですね、覚悟を決めてください!(笑)
この記事の目次
それではさっそく、一番聞きたい事を伺います!
なぜ東京暮らしから一変して、おじいさんの古民家を継ぐことになったんですか?
土地の所有者を俺の名義にされたのは約10年前ぐらいかな!
なんでかまず説明していくと、17年前に俺が20歳の時、親父が亡くなったんだよね。そして、おじいさんが亡くなったのは12年前。
おじいさんが亡くなったあと、本当は古民家の名義は長男である親父にいくはずだけど、親父はもう亡くなっていていない。
だから長男の長男である俺が継ぐことになったってわけ!
そんな経緯があったんですね…。当時は古民家を継ぐことに対してどんな気持ちを持っていたんですか?
どんなもくそも無かったよ!なんで俺が継がなきゃいけないんだってね!
これだけ綺麗に古民家を改装しているのに!始まりは乗り気じゃなかったんですね。
うん!一応一報はあったけど、当時は継がないよと思ってた。その時は25歳。
長男が家督になるっていう文化は過去のものだって考えてたし、そもそも俺の場合は東京で生まれてる。
一関は帰る場所ではなく行くところだったというのもあるかな!
ふむふむ、お盆や年末年始の親の帰省についていく感じですね。
それでは、おじいさんが亡くなってから健司さんが一関に来て継ぐまで古民家はどうなっていたんですか?
名義は俺にはなったんだけど、おばあさんはまだ生きていてね。
この古民家にいながら家を守りたいと言って施設にも入らなかったんだけど、足を悪くして親父のお姉さんである叔母さんの家に引き取られたんだ。
それからはここも俺が来るまでは空き家になってた。
おばあさんも思い出のある古民家を離れるのは寂しかったでしょうね。
古民家に飾られている千葉家の家紋
うん。おばあさんはもう亡くなってしまったんだけどね。
でも、俺が古民家に帰ってきたから安心したみたい。
おばあさんが亡くなって古民家に誰もいなくなったのは7年前。
その時はまだ、東京にいて飲料メーカーの営業マンとして生活していたよ。
営業マンでの東京生活から、一関の古民家に来ることを決意したのはいつからですか?
決意を固めたのは今から3年前ぐらいじゃないかな?実際に移住してきたのは去年の2月ぐらい!
そのきっかけはもともと子どもの頃から思っていた「自分で何かしてみたい」という考えもあったし、あとは心境の変化。
それも含めてこの「古民家を使いながら守ることができないか?」って考えたから!
古民家の茅葺屋根
古民家を使いながら守る…素敵ですね!それではなんで農家民宿に?
単純に農家民宿が流行ってたってのもあるし、俺がこの家に帰ってきてまで会社員勤めはなんか違うかなって!
さっきも言ってたけど俺の「自分で何かしてみたい」という気持ちは古民家を活かしたいからこそそう考えただけなんだ。
なるほど!こっちに来てまで会社に行きたくないということでしょうか?
行きたくないというのは少し違うかな!
わざわざ会社に行く理由が無い!どうせ会社員するならそのまま東京にいた方が良い!
「この家を守るために何をした方が良いのか?」
「この家に来るために何を仕事にした方が良いのか?」
そう考えた時にたどり着いた答えが農家民宿だった!
ピーマンの袋詰めをする千葉さん
この家だからこそ、出来ることだったんですね!
実際に一関に来たあと、最初に取りかかったことはなんでしたか?
取りかかったことと言えば、リフォーム会社を探すことかな。
本当に何の計画もなく来たからね!
東京から車で来て、最初は一関のホテルに泊まってこれからどうすっかな~って考えてたな~。
それで2ヶ月ほどホテル暮らしだった!
本当に身体一つで来たんですね!
あとは農業をやろうかと考えてたから、農地を探したりとか、そういうこともやってたね。
それで、ピーマンも育てているんですね!
農業は以前からやろうと思っていたんですか?
農業も昔からやりたかったワケじゃないんだ!
え!そうだったんですか?
「農家民宿」と名乗るうえで農業をやる必要があるのと、民宿にお客さんが来なかった時の副収入として考えてるんだよ。
なるほど!農業はセーフティネットということですね!
そうそう!現実はね!
あとは農業関係、農家さんの人脈を広げるためという理由もあるね。
道中の案内板、誰の目にも留まる存在感!
人脈ですか!
実際に農業に携わる中で古民家の運営に繋がるご縁はありましたか?
めちゃくちゃあるよ!
こっちに来てどんな人脈が必要かと考えていろんな所に顔を出してた!
そもそも、俺はシャイなんだけどさ(笑)
いろんな所に顔を出してもう鬱になるってぐらい!
スゴい!実際に自分でやるとなると、そのように顔を出すのが億劫になってしまう人が多いと思います…!
でも、千葉さんがそのようにやれた理由はなんだったんですか?
人生は一回だからってことをずっと考えてたからだと思うよ。
あとはもう、この民宿をやるって決めたから民宿のためになる人脈を作ろうって思った。
それが頑張れた理由なんですね…!
必要な人脈かぁ…。
高級感漂う、正面玄関の看板
そうして色々と顔を出しているうちに、岩手県副知事や一関市長もこの古民家へ来てくれたからね!
副知事に市長まで来てくれているなんて、すごいですね!
そういう所に人脈があると、次に市長が何かしようとする時に「使わせてもらっていいですか?」って嬉しい話をいただけることもあるよ。
へ~!そうやって人脈が繋がって知られていくんですね…!
うん!だから農業がいくら忙しかったり、他の準備が忙しくてもここは出ないといけないなってイベントは絶対に行く、何があっても!
そしてそこで飲む!絶対!
千葉さん撮影。古民家のある部落のお祭り。手前のピーマン詰め放題は千葉さんの考えたもの。
ノミュニケーションですね!
そう、ノミュニケーションが一番大事!
なんでかって言うとそのイベントだけ出て挨拶だけで終わっても繋がんないんだよね。
営業マン時代の俺を含めてね、飲んで初めて繋がって腹割って話せるなって…それが俺のやり方だね!
そうやって人脈を作るために飲むのはカッコいいですね!
カッコよくはないよ!ただ、俺が酒が好きなだけ(笑)
口が滑るっていうよりも、本音を言いやすくなるって言うのが酒なんだろうね!
確かに!自分で上手く調整しなきゃですね!
うん、だから怖いんです。お酒の力っていうのは…。
いかに意識を保ちながらお酒を飲むか…!
おー!勉強になります…!
そこは「おー!」って言うところじゃないよ~!(笑)
こだわりの檜風呂
そういえば、この古民家の素敵な内装には何かコンセプトとかあるんですか?
純和風で高級感を持たせたことかな!
「ワンランク上」とか「今までに無かった」農家民宿を目指した!
実際に古民家の見学に来た人たちからも、ありがたい言葉をよく頂戴するよ!
居間の奥には和傘も。純和風へのこだわりが感じられる。
嬉しいですね!どんな反応なんですか?
センスがいいって言われるんだけど、実際にそう言われると嬉しいし!
まだまだやることだらけだから、皆さんにそう言ってもらえると自信を持ってやれる!
確かに僕も古民家のこだわりを目の当たりにして感銘を受けました!
周りの方がそう言ってくれると、よりやる気が出ますね!
うん!この家も設計図はないんだけどね。
ここにはこういった物を作ってくださいっていうのを説明し、相談しながら作っていった内装だから!
洗面所は洗練されているデザインに。
えっ!設計図作ってないんですね!
うん、作ってない!
まあ、内装も100%自分の理想ではないんだけどね!
お金が無いからそこは妥協しつつ、この古民家を作っていったよ。
あとこのセンスを磨くのに、いろんな情報誌とか色んなものを見たけど、他の民宿にはどこにも見学には行かなかったな!
その理由はあるんですか?
理由は先入観に囚われたくなかったから!
見た先で「あ!これいいな!こうしよう!」って思いたくないし、資料だけ写真でちょっと見てこういう出窓がいいなってぐらい。
それが自分だけのセンスを磨く秘訣なんですね!
最後に、世間では企業=安定という考え方も多い中でその生き方を変えてまで古民家を継ぐことを決意した、千葉さんのメッセージを聞かせてください!
「やりたいことをやれ!」って言いたいところだけど・・・・。
それは、極論だと思うよ!
だって一般の企業に勤めてる人達全員が俺のような生き方をすれば日本経済は崩壊するだろうし!
うーん、言われてみれば確かに…。
でもそれで新しい事をしようか悩んでる人達への意見としては、まずやった方が良いと思うんだよね。やっぱり!
特に20代30代の人は早くやった方が良い。
なんでかって言うと10年で失敗しても都会に帰れば、借金しようがやる気しだいであれば返せるしなんとでもできるから!
とにかくやれってことですね!とにかく行動に移れと!
千葉さんも古民家に来るときは行動からだったと言ってましたね!
そう、計画じゃなくて行動から。
でも俺が成功事例かは分からないよ!
俺も10年後に東京に帰ってるかもしれないから!
可能性としてはね。
成功事例ではないけど、自分の人生は一回しかないんだからとにかく行動する。後悔して死ぬよりは苦労して死ぬ方がいいだろうと。
誰でもない、自分の人生ですもんね…!
そうそう、例えば結婚とか。
子どもができて孫が出来て幸せなんだろうけどさ、みんなが歩む当たり前の人生の中の幸せだけであって自分の幸せなのかな?と考えたり。
確かにそれが自分にとっての幸せとは限らないですね!
他にも千葉さんの生き方の中で大事にしていることはあるんですか?
生き方っていうのも、そんな大々的な事ではないんだけどさ。
本当に流れにそって動いてるだけだから!
明日こんなのがあるよ!って聞いたら、「あ、じゃあそっちに行ってみようかな」ってなるし、そんな感じ!
なるほどー!じゃあ風みたいな感じですね!
はは!風かー!いや台風だね!(笑)
自分の人生は一回きりだから、とにかく行動に移す。
千葉さんからは迷いを感じさせることもなく、活き活きと語ってくれました。
古民家がこうして生まれ変わったのも、それはきっと人との繋がりを大事にしている千葉さんだからこそ。
持ち前のセンスと行動力でおじいさんの古民家をより素敵な場所にするため、奮闘する姿は惹きつけられるものがあります。
今回の千葉さんのお話を通して、少しでも多くの人が自分の人生を前に進める一歩が歩めれば良いな…。そう感じた取材でした!
千葉さん、貴重なお話を本当にありがとうございました!
こちらこそ!またいつでも気軽に遊びに来てくれ~!
【所在地】
〒029-0202 岩手県一関市川崎町薄衣南新山40
【アクセス】
ドラゴンレール大船渡線 陸中門崎駅 から 徒歩 で 27 分
【電話】
090-7200-3366
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