コラム

2020.2.19

“地域第一”より”自分第一”で地域を盛り上げる!気仙沼の「ぬま大学」

柴田

こんにちは!宮城県気仙沼市に移住した柴田葵です。

2018年の秋から気仙沼に住み始めて、約8ヶ月が経ちました。私は、気仙沼以外の地方に住んだことがありません。

比べる対象が無いのにも関わらず、日々気仙沼の盛り上がりを感じています。

先日、気仙沼を訪れたある旅人が何度も言っていました。

「若い人が多い!」

 

たしかに、私もそう思うのです。

ここで言う「若い人」とは、単に年齢が若い人ではありません。

「街をより良くしようと頑張っている若い人」のことです。

それにしても、なぜこんなに多いのだろう?

考えてみると、あるプログラムの存在が頭に浮かんできました。

それは、「ぬま大学」です。

気仙沼市の地域づくり推進課が行っている、「担い手育成支援事業」の一環としてつくられました。

この記事の目次

ぬま大学って?

ぬま大学とは、半年間、5回の講義を通して、「マイプラン」を作っていく実践塾。

<マイプランとは>

自分自身の中にある「やりたい」や、「もっとこうなったらいいのに」という想いを整理し、その想いと地域を繋げながら、自分が思い描く未来を具体化し、小さく実践していくための手法を“マイプラン”と呼んでいます。(公式サイトの引用)

受講生にはコーディネーターが付き、対話によって自ら考えるヒントをくれたり、一緒に悩んだりと、マイプラン作る手助けをしてくれます。

参加するのに必要なのは、明確なプランではなく、「気仙沼のために何かしたい」という気持ち。

「何かしたいけど、何をしたらいいのか分からない」という人が、今までにたくさん受講してきました。

マイプランを作っていくなかで、自分自身との対話をたくさんします。自己理解を深める事ができるのも、ぬま大学の大きな魅力のひとつです。

締めくくりには、最終報告会でマイプランについてのプレゼンをします。

この最終報告会では、半年間もがいてきた受講生、彼らを見守ってきたコーディネーターたちが涙を見せることも。

“地域第一”より”自分第一”

ぬま大学がなぜできたのか、運営している人たちがどんな思いを持っているのか。

それを知るために、事務局の矢野明日香(やのあすか)さんにお話を伺ってきました。

 

柴田

本日は忙しい中ありがとうございます。よろしくお願いします!

明日香さん

よろしく〜!

柴田

始めに、ぬま大学が立ち上がった経緯を聞かせて頂きたいです。

明日香さん

私が参加したのは第2期からだから、聞いたことを話すね。

担い手育成支援事業で、「ぬま塾」とか「ぬまトーーク」のような単発のイベントをもともとやっていたのね。

でも単発だと、「街を知る」、「街について考える」だけになってしまって、その先実践に移すまでのサポートができない。

じっくり時間をかけて、個人個人が街のためにやりたいことを形にする期間をつくれたらいいなということで、ぬま大学が始まったんだって。


柴田

半年間考えて考えて詰めたプランが、毎年約10個できあがるんですもんね。

気仙沼が盛り上がっている大きな理由がのひとつがぬま大学なんだなと、改めて感じています。

明日香さん

そうだね。盛り上がっている感はあるよね。

ぬま大生も、4期まで合わせるともう46人。すごいよね。

6〜7割の人たちはマイプランを継続させたり、形を変えても何かしら活動しているんだよ。

卒業した後に、OB・OGとして期を越えて繋がっているのもすごいと思うな。

歴代のぬま大生同士がコラボしてイベントを開催したりしているのを見ると嬉しくなる。

柴田

現役、OB・OGに関わらず、ぬま大生はイベントを開催するなど、活発に動いているなという印象を受けます。

ぬま大学を開催することによって、この街にどんな影響が起こってほしいと考えますか?

明日香さん

人によって、やりたいことや興味のある分野って違うよね。

そんな多様性のある個人個人が、それぞれの分野で、気仙沼のあらゆる場所で立ってくれたら面白い街になるんじゃないかなと思う。

カオスな街って楽しそうだし、楽しいエネルギーに人は寄ってくるからね。

柴田

これは市の事業ですが、最優先は地域課題を解決することですか?

明日香さん

地域課題の解決は大切だよね。でも私としては、個人の興味のあることを1番大切にしてほしいな。

それがその人らしさだし、結果的に地域課題の解決に繋がっているんだと思う。

やりたいことを自分軸でやっていたとしても、「街のため」という前提でマイプランをつくっているから、自分も楽しいし街のためにもなっている。

 

柴田

ぬま大学の魅力ですね。

明日香さんは、事務局兼コーディネーターですよね。

コーディネーターとして、毎期楽しみなことや嬉しい事はなんですか?

明日香さん

まず最初に、今期はどんな子が来るのかなっていうのが毎回楽しみ。

どんなことに興味があって来るんだろうって、募集の時点で既にわくわくしている。

あとは何と言っても、最終報告会が感動する!


柴田

半年間見守ってきた人たちの集大成ですもんね。

明日香さん

そうなの。それと、最終報告会が終わって卒業した後に活動してくれているのを見るのも嬉しい。

受講した人の中に、半年間で満足するマイプランをつくれない人もいたんだよ。

だけどその人は、半年間でヒントを掴んで、そのヒントを活かして卒業後に動き出していて、それを見た時、心から安心した。

ぬま大学があったから自分の軸を見つけられた、って言ってくれた人もいたな。

柴田

素敵すぎる…!

運営、コーディネーター、受講生が一体になっていて、コミュニティとしてもすごく魅力がありますよね

明日香さん

ぬま大学では仲間ができるし、終わってからも繋がっている。

自分の想いを素直に話せる人たちがいるって、私もとても素敵だと思っているよ。

「地域第一」ではなく、「自分第一」。

決して自己中心的な考えではありません。

自らが楽しむことで、周りも楽しくなる。

そうしてどんどん巻き込んで膨張したエネルギーが、外から見た時に「気仙沼って楽しそう!」と思われる大きな要素になるのだと思います。

その要素を作るのに、ぬま大学が一役買っているのですね!

OB・OGのお話

さあ、ここからは、実際に受講したOB・OGのお2人に登場してもらいます。

マイプランのこと、ぬま大学が自身や街にもたらした変化などを聞いてみました。

1人目は、ぬま大学第2期生の菊地隆太郎(きくちりゅうたろう)さん。

彼は、宮城県気仙沼市出身。

震災時は東京で介護職についていましたが、その後Uターンし起業しました。たい焼きならぬ「サンマ焼き」とタピオカのお店、『サンマミーア』をオープン。

私もよく利用しますが、サンマ焼きやタピオカはもちろん、隆太郎さんとお喋りをすることが目的で行く事もしばしば。

柴田

マイプランについて聞かせてください

隆太郎さん

出身地であり、現在も暮らしているのが気仙沼市の八瀬(やっせ)という地域。

そこに子供のための遊び場が必要と考えて、『こどもの遊び場をつくりたい』というマイプランをつくった。

今は『八瀬そのものを遊び場にする』に変わっているけど、活動を続けているよ。

柴田

八瀬、自然豊かで穏やかな土地ですよね。

子供が遊んでいる風景を想像すると、ほっこりします。

ぬま大学を受講したことで、自分自身に変化が起こりましたか?

隆太郎さん

受講前から地域活動自体はしていたんだよ。

でも、ぬま大学を受講したことで、一緒に活動、考えてくれる仲間が出来たな。

活動の幅が広がって、ぬま大生同士でコラボしてイベントを企画したり、1人では思いつかなかった楽しい事が出来るようになった。

柴田

たしかに、隆太郎さんはよく誰かとコラボしてイベントを開催していますね。

ぬま大学によって、気仙沼がどのような街になってほしいですか?

隆太郎さん

チャレンジする一歩が出やすい街、またそのチャレンジを見守り協力する仲間が多い街になってほしい。

あとは、ぬま大学はまだ移住者の方の参加が多いと感じている。

地元の人間からすると、もっともっと地元に残ってる人たちがこのような活動に興味関心をもって一緒に加わってくれたら、より良い街になると思うな。

柴田

ありがとうございました。

またサンマ焼き食べに行きます!

隆太郎さん

いつでもおいで〜。

お店が新しくなり、現在は『サンマミーア2』という名前になっています。

気仙沼に来た時には、ぜひサンマ焼きを食べていってください!

希望を持ってUターンできる街に


2人目は、第3期生の小野寺真希(おのでらまき)さん。

彼女もまた、気仙沼市出身です。気仙沼の高校を卒業後、山形の大学に進学。

4年生の時、大学生でいながらも地域おこし協力隊としてUターンしました。

現在は帰ってきて3年目。地域おこし協力隊として最後の年です。

今後はデザイン業を主な活動として、気仙沼で生活していくそうです。

ぬま大学を受けたのは、帰ってきた年、大学4年生の時です。

柴田

マイプランについて聞かせてください。

真希さん

私のマイプランは、希望を持ってUターンできる気仙沼にしたいっていう目的だった。

進学や就職で市外に出た同年代からアンケートを取ったら、帰ってきたいけどためらっている人が多いことを知ったのね。

働き口がなさそうとか、社会経験を積んでからしか帰れないんじゃないかなとか。

実際に帰ってきている人たちは、魅力的な仕事があることも、どんな仕事でも結局街に貢献しているんだってことも分かっているんだよね。

だから、その不安を解消するためのワークショップを開いた。そこのギャップを少しでも埋められたんじゃないかな。

柴田

不安をあまり感じずにUターンできる街になったら、きっと帰ってくる人も増えるんだろうな…!

ぬま大学を受講して、真希さん自身に何か変化は起こりましたか?

真希さん

仲間ができた!私のぬま大の同期は、同い年くらいの人が多かったんだよね。

気仙沼出身でも、学校が違う同級生と会う機会なんて滅多にないから、ぬま大で会って仲良くなれて良かった。

お互いのやりたいことを応援し合える関係って大切だなって思う。

柴田

学校や仕事と関係のない繋がりって面白いし、交友関係が広がることで気仙沼での生活がもっと楽しいものになりそうですね。

ぬま大学によって、気仙沼にどんな変化が起こっていると考えますか?

真希さん

ぬま大のコミュニティができてきているなと。

コーディネーター、卒業生、現役の受講生、これからもっと大きなコミュニティになっていくんじゃないかな。

他の地域でも開催したら面白いよね。ぬま大学in東京、みたいな(笑)

住んではいないけど気仙沼が好きな人たちってたくさんいると思うから、そういう人たちも参加できるシステムになっていったらいいなと思う。

柴田

今以上に多様性のあるコミュニティになったら面白いですね!私もそうなってほしいと思います。

ありがとうございました!

ぬま大学には、様々な思いを持った受講生、一緒に走るコーディネーターが集まります。

彼らの間に絆が生まれ、いつしか仲間と呼べる存在に。

明日香さん、隆太郎さん、真希さんが口を揃えて言っていました。

仲間ができることが、このプログラムの醍醐味なのです。

新たな半年間の幕開け


2018年12月、第4期の最終報告会が行われました。

来場者数は過去最多の124名。

そして今。2019年6月から、第5期が始まりました。

なんと今期は、受講生の人数が前期の約2倍。

第4期まで毎期10名程だったのが、第5期は応募者殺到でなんと21名が受講することに。

ぬま大学史上、最大の盛り上がりを見せています。

実は私、柴田葵も第5期の受講生として参加しています。

始まったばかりの今、どんなマイプランにするか、全く決まっていません。

ぼやっとしたゴールすら見えていません。

そんな私が半年後、どんな道を歩いているのか、どんな心境の変化を経験しているのか。

自分のことでありながら、楽しみだなと傍観している部分があります。

皆さんにも、ぬま大学が1人の人間をどう変えていくのか、私を通して知ってもらえればと思います。

twitterや個人ブログで発信していくので、プロフィールからチェックしてみてください。

 

きっと、気仙沼はこれからもっと盛り上がっていくと信じています。

マクドナルドも、GUも、映画館もないけど…(私が欲しいだけ)

私たちは今日も、このカオスな街で元気に生きています。

この街のあたたかな人・場所にもっとたくさんの人が触れてくれたら、こんなに嬉しい事はありません。

ぜひ、気仙沼という街の存在を、頭の片隅にでも入れながら生きてください。

そして、気が向いたら遊びに来てください。このカオスな街を一緒に探検しましょう。



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