コラム

2019.7.21

日本人って働き過ぎなのかな?労働時間の歴史や現状について調べてみた!


皆さんは、自分が働く時間を「長い」と感じますか?

最近では「8時間も働きたくない・・・・。」と考える人が増えていたり、「給与が下がってもプライベートな時間を増やしたい」と考える若者が増えたりと、労働時間短縮へのニーズは高まっています。

でも、実際のところ日本人の労働時間って減っているのでしょうか?それとも増えてる??

ということで、今回は世界の労働時間に関する歴史や、近年の労働時間の動きから、私たちの未来の働き方や暮らし方について探っていきましょう。

この記事の目次

労働時間の歴史


労働時間の歴史を見てみると、昔の日本人は今ほど長くは働いていなかったということがわかります。

例えば、縄文時代は食料を得るために2〜4時間/1日ほどしか時間を使っていなかったようですし、江戸時代の町人も平均4〜5時間/1日ほどしか働かなかったそうです。(8時間労働は長い!根拠の無い法定労働時間を気にしなくて良い理由!より)

しかし、世界的に労働時間が爆増した時期があります。

それが1800年代にイギリスから始まった産業革命期です。

産業革命期イギリスの労働時間は13時間以上


産業革命とは、18世紀後半にイギリスから始まった技術革新による産業構造の変化のことで、この産業革命をきっかけに「誰かの雇われて働く」という概念が広く普及しました。

当時は「労働時間を増やせば増やすほど生産性は拡大する」と考えられており、1日に13時間〜16時間も働かされ、休みは週に1回という状況が一般的だったそうです。

そして、そんな状況を打破し8時間労働を導入しようとしたのが、ロバート・オウエンという人なのです。

ついに8時間労働が獲得される


ロバート・オウエンはイギリスの実業家・社会改革家で、「仕事に8時間を、休息に8時間を、やりたいことに8時間を」(Eight hours labour, Eight hours recreation, Eight hours rest)のスローガンを掲げ活動しました。

そして1847年の工場法改正で、ようやく若年労働者と女性労働者に対する10時間労働の制限が実現し、最終的には1919年の国際労働機関(ILO)第1回総会で「1日8時間・週48時間」が国際的労働基準として確立したのです。

いま、僕たが「長いなぁ」と感じている8時間労働も長い闘争を通して獲得されたものなんすね!

ちなみに、日本で8時間労働が法的に規定されたのは1947年施行の労働基準法になります。

現代日本の労働時間は減っているの??

では、そんな歴史を経て、現代日本の労働時間は減っているのでしょうか?それとも増えてのでしょうか?

労働政策研究・研修機構が2018年に行なった調査によると、日本人一人当たり平均年間総実労働時間は、【2000年/1,821時間】→【2005年/1,775時間】→【2010年/1,733時間】→【2016年/1,713時間】と徐々に減少している傾向にあります。


データブック国際労働比較2018 より作成

2000年と2016年を比較すると、年間で100時間以上も労働時間が減っているんですね。

個人的には、なんとなく減っていないイメージがあったので意外でした!

また、1人あたりの平均年間総労働時間を国際比較してみると、ドイツ・ノルウェー・フランス・イギリスなど日本より労働時間が短い国もあるものの、イタリア・アメリカ・韓国は日本よりも労働時間が長いという結果が出ています。


データブック国際労働比較2018 より作成

他の国と比べると長い部類に入るものの、韓国なんて日本よりも年間300時間以上、労働時間が長いので、「日本の労働時間って意外と長くないのかな?」と思ってしまいますよね。

一般労働者の労働時間はあまり減ってない

しかし、もう少し掘り下げてデータを見てみると、別の事実が浮かび上がってきます。

労働時間を雇用形態別に見てみると、一般労働者の労働時間はここ数年であまり減っていないのです!(一般労働者:常用労働者のうち、パートタイム労働者以外の労働者)

毎月勤労統計調査 平成30年分結果確報より作成

また、全労働者に占めるパートタイムの割合もここ数年で上昇しています。

つまり、パートタイム労働者が増えているのが、日本人全体の労働時間減少に少なからず関係しているということが言えそうです・・・。


毎月勤労統計調査 平成30年分結果確報より作成

こうして見てみると「働く時間は減ってないな」という感覚はあながち間違いではなさそうです。

日本は長時間労働が多い

また、日本人は長時間労働をしている人が多いというデータもあります。

なんと、週49時間以上の長時間労働をしている人の割合は「20.8%」。

データブック国際労働比較2018 より作成

グラフを見ると、調査対象国の過半数が日本の半分くらいしか長時間労働をしていないことが分かります。

それに対して、韓国や香港では長時間労働をしている人が30%以上となっており、アジア圏の長時間労働が目立ちますね。

労働時間が短くなれば幸せになれる

ここで気になるのが、労働時間が私たちにどのような影響を与えるのか?ということです。

一橋大学の小野教授がまとめたデータによると、「労働時間が短いと幸福度が高くなる傾向がある」と言うことが分かっています。

日本の労働時間はなぜ減らないのか?より

こちらのグラフを見ると、メキシコのように労働時間が長いのにも関わらず幸福度が高い国はありますが、労働時間が短い国で幸福度が低い国はありません。

労働時間だけが幸福度を決めている訳ではありませんが、1つの要因になっていることは間違いないでしょう。

<まとめ>

労働時間は減っていく


日本のここ10年ほどの労働時間を見ると、「一般労働者の労働時間はあまり減ってない」という結論に至りました。

しかし、今までの歴史的な流れを見る限り、長期的には労働時間はほぼ間違いなく減っていくでしょう。

また、世界最大の小売チェーンであるウォルマートは従業員の労働時間削減や生産性向上を目的として、ロボットを導入し、床掃除や箱のスキャン、トラックの荷降ろし、在庫管理などを行うことを決めました。

このようなオートメーションの流れも労働時間減少を推し進めていきます。

労働条件の悪い企業は淘汰されていく


最近の20代の若者は、転職をする際に「労働時間」や「プライベートの時間」を「給与」と同じくらい重視するようになっています。

少子高齢化で、労働人口現象は進行していくので、労働時間を含む「時代に即した働く環境」を用意できない企業は、人材の確保ができずに淘汰されていくでしょう。

将来は「採用試験」で企業側が人を選ぶのではなく、企業側があの手この手を使って、働いてくれる「人間」を集めるような時代が来るかもしれません。

働き方と生き方を選ぼう


労働時間が短くなっていくということは、それだけ社会全体の生産性が向上し、豊かになっていくということです。

そうして生まれた余暇時間で、あなたは何をしますか?

「働かなきゃ食っていけない時代」から抜け出した先の世界にはたくさんの選択肢があるはずです。

その時に何をして、何のために生きるのか?

今から考えておく必要があるかもしれませんね。



この記事を書いた人

ブルゾンみきお

ブルゾンみきお

日本10周中のライター。高知嶺北を拠点に、PC一台で稼ぎつつ定期的に旅をしてます。 地方移住・人材採用・脱サラ・キャンプ・アウトドア・インタビュー・レビューなどが得意分野です。 お仕事の依頼はTwitterのDMまで!(@OOHORI_bicycle)

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